名探偵明智元一郎vs怪人二十面相 秘宝「虎徹の涙」編

 
配役
 明智・・堺雅人
 文代夫人・・鈴木砂羽
 小林少年・・浅利くん(周平
 源さん・・小林隆
 山本警部・・山本耕史
 斎藤始・・おだぎりじょー
   総司・・藤原竜也
 伊東医師・・谷原章介

第3回

挑戦的な美青年の総司の不敵な笑みに、山本警部は闘志を燃やした。
「ふ、いい面してやがる。かわいい顔してけっこう悪だな、こいつ」
「そんなことは・・ぐ!ぐふっ!!」
激しく咳き込む総司。

「だめじゃないか、無理したら。貧血なんだからレバーを食べなさい」
伊東医師が薬を調合して飲ませた。

「それは?」
「庭で栽培している花から取るんです。量を間違うと毒になるので慎重にやらないと」
「すでに猫が山ほど実験で死んでいるからのう」斉藤老人がつぶやく。
「・・・じゃああの庭の小さな墓は・・」
明智はじっと見つめた。

「成仏した猫たちですよ。ミケ、タマ、コロ、チビ、ユカリにヨウコにマユミにじゅんこ・・」
伊東医師が指を折って数える。

「なんかあとのほうはおねーちゃんの名前みたいだな」
警部は恵比寿の居酒屋での飲み会の幹事の仕事を思い出した。

「・・・いい感じに苔が生えている。ポイント高いなあ。うーん。」
明智、かなり心惹かれている。
「・・・先生。今は苔は忘れましょう」小林少年がささやく。

「僕もそのうちあんな風になるんだ。今年の桜は見れても来年の桜はきっと見られない」
総司が遠い目をしてつぶやく。
「なにをいうんだ!君の命は私が守ってみせる!」
伊東医師が机を叩いて叫ぶ。

「そら無理や。桜の木はもう根がかれて、先週切ってしまったんじゃから 来年桜は見れん。」

「・・・おじいさん・・・」
総司は床にひざまずいて叫んだ。

「あーなんたる無常!!この世はいつも混沌と悲哀と憎悪にみちあふれている。 何が真実で、何が虚構なのか!そしてその世界で私の存在はなんという小さきもの!! 私の進むべき道を、神よ!どうか照らして導いてください!この手に力を!!

(あと小1時間ほどつづく)

その長台詞に小劇場のプリンス魂が触発されて、
明智も両手を高く天に差し出して叫んだ。

「そうさ、どうしてこんなにも神のいたずらにわれわれは翻弄されている!! 私の歩む道はすべて自ら意図したものではないのか?ああ、すべては運命に決められた あやうく、はかなく、今にも消えてしまいそうな、まるで淡雪のような、そして赤ん坊の 手のひらにも似た、心惑わすような甘く柔らかく、とろけるようなこの甘美な香りに・・」

(あと小1時間ほどつづく)

「・・・小林少年、はらへった。うな重でも出前頼んで来い」
山本警部はあくびしながら言った。

                        第4回以降はこちら


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